181cmのわたしと10cmのヒール 10

そんな弟はわたしと同じ身長になる前からモテモテ。両親のいいところを受け継ぎ、姉のわたしから見てもかなりなイケメンに育っていった。
そんな弟が毎年もらってくるヴァレンタイン・デイのチョコレート。
くれた女の子の気持ちを考えると申し訳ないが、毎年弟と二人で食べていた。ホワイト・デイのお返しはわたしも半分負担していた。
弟のルックスなら充分に芸能界のお仕事できるのに。
男の子ばかりの芸能事務所ならすぐに入れそう。今からでもジュニアとして活躍できればすぐにファンができるだろうなー。
きっと弟にも両親からいつかこんな話がくるんだろうな。
わたしはなんか両親の話しに呆れていたのでそんなことを考えていた。

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181cmのわたしと10cmのヒール 9

が、しかし父の話は進んでいく。
おまえはパッと見は拒食症に見えなくもない。
モデルなら痩せていて当たり前と世間様から理解を得られる。まずはティーン向けの雑誌のモデルに応募してみないか?
だからさー、わたしはモデルになるなら一流じゃなきゃイヤなの。
ティーン向けの雑誌のモデルなんてイヤだよ。友達も読んでるし。恥ずかしいじゃない!
突然、何故か弟が話し始めた。
お姉ちゃんはせっかくキレイなんだから、それを生かしてみるのもいいんじゃない?その後にビッグチャンスがあるかもよ?
…小学生のくせに姉にアドヴァイスするんじゃないよまったくもう…(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール 8

天職って…言われても。興味のない職業が天職ってなんかおかしくない?
それに、モデルになるなら一流のモデルじゃなきゃイヤ。有名ブランドの服を着てパリコレのランウェイを歩くような。
わたしには無理だよ、お父さん、お母さん。
ランウェイを歩ける人なんて僅か一握りだよ?それにそういうモデルの人達はみんな身長175㎝以上だって何かの記事で読んだし。それにいい加減もう身長も伸びないと思うよ?
ダメダメ、やっぱ無理!お父さんもお母さんも何でそんなこと言い出したの?
わたしはなんかこのおかしなやり取りに笑ってしまった。(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール 7

えっ?モデル?
父の言葉が最初わからなかった。
わたしモデルに興味ないんだけど…
突然の父の発言に、それしか答えられなかった。
お母さんもね、お父さんと同じでモデルのお仕事がいいと思ってるのよ。ほら、今までのスカウトマンさん達のお名刺持ってないの?
母の言葉にギクッ!ときた。
持ってることは持ってるけど…適当にバッグに入ってると思う…多分。
ってかイキナリ何の話し?さっきモデルに興味ないって言ったじゃん!
また父が。
おまえは恵まれていると思うんだ。顔も母さんに似てキレイだしな。手足も長いし、これからまだ身長も伸びるんじゃないか?。スタイルを考えてもやはりモデルは天職なんじゃないかとお父さんは思うんだ。(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール 6

だってただの中学生だもの。それにわたしは美人な母に似ているけど、似ているだけ。わたしは美しくはないわ、と思っていた。
そう、あれは中学二年の時のいつかの金曜日。その時の身長は確か170㎝。
父が早くに帰ってきて、四人で夕食を食べていた。そして皆が食べ終わり、食後のお茶を母が淹れてくれていた。
家族団欒かぁ、と呑気にお茶を啜っていたら、父も母も、んー?な雰囲気で。どうやら両親はわたしに、まだ13歳なのに進路を確認したい様子だった。唐突に父が切り出した。おまえは今まで何度もスカウトされているみたいだが、モデルの仕事、真面目に考えてみないか?(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール 5

友達と街中に出ると必ずと言っていいほどスカウトマンに声をかけられた。もうウンザリしていた。名刺を渡され、離れてはいくが…。
中には怪しいスカウトマンもいたりで。そんなわたしに父が携帯電話を持たせた。
何かあったらすぐに110番するように、と。
わたしは何故かスカウトマンの名刺を捨てていなかった。というよりバッグの中に適当にほうり込んで忘れていた。
忘れる…それくらいモデルとかどうでもよかった。
ファッションにも興味なかったし。
しかし残念なことに、わたしは目立つ。背が高いから。
美しいというのは罪ね、と脳内でバカなことを呟いていた。(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール 4

幼少期からのカルシウムのサプリメント。わたしがこんなに背が高いのは隔世遺伝ではないかとは思っていたが、きっとサプリメントがかなりの影響があったのではないか?と今でも思っている。

母は弟には日焼け止めなどは使っていなかった。

女か男かでずいぶん違うものだなぁ…くらいにしか思っていなかったが、まだ小さかった弟から見ると、お母さんはなんでお姉ちゃんばかりかまうんだろう、と子供ながらに気分を害していたらしい。しかし、二歳の年の差はお互いが成長するにつれほぼなくなり、身長の差もなくなった。常に姉のほうが背が高いのは嫌だったらしいが。(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール 3


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母が若かった頃、色白の肌に飽きたのか、小麦色の肌に憧れてビーチで身体と顔を小麦色にしようと試みたが、赤くなるだけで小麦色の肌とは無縁だったそうだ。逆にシミが顔や肩に残ってしまったのを後悔したと言っていた。
だから母は化粧品を美白のライン使いをしていたのか、となんだか納得してしまった。
長年のお手入れが功を奏したのか、母の顔にはシミがない。肩は知らないが。
わたしが背が高い理由のひとつが、この太陽を避けていた生活のせいであったのではないか?と、ある時思った。
日に当たらないとビタミンDが不足してしまうので、ビタミンD配合のカルシウムのサプリメントを飲むことが必須であった。あと、ビタミンCも。(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール

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そう、容姿はといえば。わたしは生まれつき皮膚が薄い。頬などは血管が透けて見えるほど。おまけに色が白い。死人の様に。

色白なのには訳がある。

赤ん坊の頃から小学校2年生までは、母がせっせと日焼け止めをわたしに塗っていた。

3年生からは洗面台に置いてある日焼け止めを自分で塗るように、と、母から言われ、それまで塗られていた通りに自分で塗るようになった。

顔も首も腕も脚も。

日焼け止めを塗ることには何も抵抗がなかった。それが当たり前だったからだ。

母は元から色白だったので、わたしにも遺伝しているとは思う。

母曰く、子供の頃に浴びた紫外線の総量で、未来の肌に違いが出るそうだ。わたしは日焼け止めを塗るのが習慣になっているから塗っているだけで、そういったことはあまり考えたことがなかった。(続く)

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181cmのわたしと10cmのヒール

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遺伝っていったいなんなのよ…。
好きで背が高くなった訳じゃない。好きで痩せてる訳じゃない。
お陰で服のサイズに困る。ウエストが細くて股下が長いパンツなんてほとんどお目にかかれない。わたし以外の家族は皆、普通体型なのに…
父は普通のサラリーマンだが、役職についているとかで高給取りだったらしい。
わたしのようにガリガリではないが痩せ気味で、染めていない髪は白髪交じりでもキレイにカットされ、自分で毎朝スタイリングをしている。身長は173㎝と至って普通だ。
母は。一言で言えば美人だ。そして美意識が高い。毎日ちゃんとお化粧をして、そしてそのお化粧する姿を父には決して見せない。正に女性の鏡。それにとても優しい。身長は160㎝。
私には弟もいる。
年は2つしか違わない。そのせいなのかどうか姉弟仲はいい。弟は姉のわたしからみてもイケメンに成長していった。(続く)

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